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戦略参謀 (稲田将人) 。戦略参謀とは経営トップの頭脳である

戦略参謀 という本をご紹介します。

 

戦略参謀

戦略参謀

 

 

エントリー内容です。

  • 本書の内容
  • 興味深いと思ったこと (5つ)

 

本書の内容

以下は、本書の内容紹介からの引用です。

紳士服チェーン 「しきがわ」 の営業マン高山昇は、陰謀家の阿久津専務の逆鱗に触れ、新設の経営企画室に異動に。

だが、高山は持ち前の正義感と行動力を武器に、室長の伊奈木とコンサルタントの安部野の助力を得ながら、社長の補佐役として成長。社内の地雷を踏みまくりながら経営改革に取り組姿を描くビジネスストーリー。

 

興味深いと思ったこと

この本を読み興味深かったことは、次の5つでした。

  • 戦略参謀の役割
  • ものごとには必ず前提がある
  • 実行と PDCA
  • 人は性善だが、性 "怠惰" である
  • 企業の不振は 「市場との乖離」 から


以下、それぞれについて思ったことです。

1. 戦略参謀の役割

企業における戦略参謀は、部署名で言えば経営企画部です。

本書は、経営企画部に異動になった主人公・高山昇が、戦略参謀として試行錯誤や失敗を重ねながら成長する物語です。本書を読むと、戦略参謀 (経営企画部) とは何かが理解できます。

そもそも組織とは、企業創業者が自分一人ではまわし切れなくなったことによって生まれます。分業化し、組織に役割と責任を持たせます。

経営企画部の役割は、企業経営者の頭脳です。企業が生き残り、持続的な成長をするためにどうすればよいかを考える組織です。経営者が考えることを経営企画部が代行し、経営者が意思決定の判断を誤らないようにサポートをします。

2. ものごとには必ず前提がある

本書では 「ものごとには必ず前提がある」 という言葉が何度も出てきます。前提とは、置かれた環境や外部条件、制約条件です。

いかに前提を理解し、前提の下で何を考え、どう意思決定をし、どんな行動を取るかです。前提が変化すれば、自分たちも変わらなければいけません。前提の変化とは、例えば、市場や消費者の変化です。

ものごとには必ず前提があるという認識は重要な一方で、時には前提に挑戦することも大切です。始めから制約条件を所与とするのではなく、その制約条件を外せないか、業界の常識を破れないかという思考です。

3. 実行と PDCA

この本の物語では、PDCA を精度良く、高速にまわし続けることの重要性が語られます。

企業活動は、行動からでしか成果は得られません。人も組織も行動によって成長できます。ただし、やみくもに行動すればよいというわけではありません。

現状把握から何が問題なのかのイシューを明確にし、イシューに対する仮説を立てます。イシューと仮説に基づいて実行します。検証から仮説が正しいかどうか、何が成功し、何がうまくいかなかったのかを学び、次に活かします。

この PDCA サイクルをいかに早く、意図と意志を持ってまわし続けられるかです。実行と PDCA によって成功と失敗の両方から学び、時間を無駄にせずに成長します。

4. 人は性善だが、性 "怠惰" である

本書でのキーワードの一つが 「人は性善だが、性怠惰である」 です。

性怠惰とは、人は本質的に怠ける存在だと考えることです。人は、誰も見ていないと怠けてしまいがちで、易きに流れ、目の前の利益に惑わされます。組織よりも個人のエゴが優先されてしまいます。

性怠惰は、人間の本能的なことです。がんばらなくても (怠けても) 自己が生き残れ生存欲求が満たされるのであれば、人は易きに流れます。

長期的には性怠惰は、組織に悪影響を与えます。皆が怠けてしまうと、企業活動は停滞し、やがては衰退します。

人間の本能は変えられません。企業として必要なのは、性怠惰が暴走して組織に悪い影響を与えないように、企業文化の醸成や評価制度によって、仕組みで組織を守ることです。生存欲求の力を、性怠惰に向かわせるのではなく、性善や成長意欲につなげる仕組みです。

5. 企業の不振は 「市場との乖離」 から

企業と市場との乖離は、自分たち企業が内向きになることによって生まれます。内向きとは、社内政治や権力争い、上の機嫌を伺う、部署ごとの縦割りで自分たちの都合を優先する部分最適です。

内向きになると、本来向き合わなければいけない顧客、市場、消費者に目がいかなくなります。内向きの状態では自分たちは変化をせず留まったままです。いつしか浦島太郎のような状態になり、市場と乖離します。

外部環境は常に変化します。自分たちも変わり続け環境に適応しなければ、いずれは滅びます。企業不振とは、絶滅しそうになっているシグナルであり、事象です。事象の奥には、市場との乖離、つまり外部環境に適応できていないという自分たちの問題があります。

 

最後に

本書は、ビジネス小説で、戦略参謀とは何かをわかりやすく学べます。

各章の終わりに、その章の解説が挟まります。解説の量もちょうどよく、物語と解説をテンポよく読むことができます。

 

戦略参謀

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