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都市は人類最高の発明である。発展する都市に学ぶビジネスへの示唆

都市は人類最高の発明である という本が、ビジネスにも示唆があるのでご紹介します。

 

都市は人類最高の発明である

都市は人類最高の発明である

 

 

エントリー内容です。

  • 本書の内容
  • 都市での密集性と多様性
  • ビジネスへの示唆

 

本書の内容

原題は Triumph of the City を直訳すると 「都市の勝利」 です。

著者は、都市を 「人類最高の発明」 と言います。都市は、人類の強みを最大限に活かせる場所であるという主張です。

著者が指摘するのは、都市の特徴は人や企業の間に物理的な距離が小さいことです。都市の緊密性や密度が高いことです。

都市では人と人との距離が近いので、人同士のつながりが生み出されます。人々は協力し、お互いから学び合います。著者は、お互いから学び合うことこそが、人類の本質的な特徴だと言います。人類の協力があるからこそ、都市は文明の成功に寄与し、人々が協力しあう状況が、都市が存在する最大の理由であると書かれています。

 

都市での密集性と多様性

都市では、人々が密集しているので相互作用の機会が生まれます。各自のアイデアやお互いの技術が組み合わされやすい状況です。そこから、新しいアイデアイノベーションが生じるのです。

ポイントは多様性です。

イデアが組み合わさるとき、似たようなアイデア同士では新しいアイデアが生まれにくいでしょう。だからこそ、重要になるのが多様なアイデアがあることです。本書の文脈で言えば、多様な産業や文化が都市にあることが大切なのです。

都市にはお互いが接触し、混ざる機会が数多くあります。そのための条件が 「密集性」 と 「多様性」 の2つであり、都市が発展していくために必要な2つの要素だと著者は言います。

 

多様性を失い都市が衰退した事例 (デトロイト市)

本書では、古今東西の様々な都市が各テーマの事例として紹介されています。

その中に、都市の多様性という視点で興味深い事例が書かれていました。アメリカのデトロイト市です。

20世紀、デトロイトは世界有数の自動車産業が中心の工業都市でした。自動車という単一の産業に強く依存し、労働者の多くも自動車産業で働く人々でした。一方で、自動車以外の産業が育成されませんでした。

多様性を失ったデトロイトは、自動車産業が傾くと、それとともに衰退していきます。

かつてデトロイトが発展できたのは、フォードが開発した自動車大量生産方式があったからでした。興味深い指摘だったのが、大量生産方式が開発できたのは、その当時のデトロイトには自動車以外の多様性のある都市だったからという点でした。

しかし、その後は自動車産業という単一産業の都市となってしまいました。多様性が失われ、デトロイト市は衰退していったのです。

 

ビジネスへの示唆

都市をオフィスに見立てると、本書の指摘はビジネスに示唆があります。活性化されたオフィスには、人がある程度に密集していることと、人の多様性があると当てはめることができます。

密集性は、単にデスクを詰め込み、肩身の狭いオフィス設計にすることではありません。本質は、気軽に社員同士が声を掛け合い、オープンに話せる環境と、実際にそうなっている雰囲気です。

多様性のある社員同士でコミュニケーションが活発になれば、新しいアイデアが生まれます。

 

都市は人類最高の発明である

都市は人類最高の発明である