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Google vs トヨタ - 「自動運転車」 は始まりにすぎない (泉田良輔) 。イノベーションは既存の競争ルールを無効化する

Google vs トヨタ - 「自動運転車」 は始まりにすぎない という本をご紹介します。

 

Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない (角川EPUB選書)
 

 

今回は、競争ルールとイノベーションについてです。エントリー内容は以下です。

 

イノベーションは既存の競争ルールを無効化する

この本で印象的だったのは、イノベーションは既存の競争ルールの無効化によって起こるという考え方でした。以下、本書からの引用です。

 「米国の自動車メーカーがトヨタに勝つためにはどうすればよいか」 と聞かれれば、何と答えるだろうか。

日本人であれば、「エンジンの燃料効率を改善してシェアを奪う」 とか、「工場のキャパシティを拡大して生産台数を増やす」 とか、「GM とフォードを足せば、トヨタを超えるのではないか」 といった答えが返ってきそうである。

しかし、米国でイノベーションの何たるかを理解した人たちは、「いま自分たちが競っている市場の競争のルールとは何か」 を考えるのである。

 (中略)

市場のリーダーでない場合には、「その競争のルールを無力化する方法」 を考える。

 (中略)

日本人の回答は、競争のルールを理解するところまでは同じだ。しかし、いまある競争のルールの中で器用に走り切ろうとしてしまう。

(引用:Google vs トヨタ - 「自動運転車」 は始まりにすぎない)

 

イノベーションが起こるのは自動運転車

本書では、自動車のいまの競争ルールを変え、イノベーションが起こるのは自動運転車だと言います。

なぜなら、競争ルールをより上位レイヤーに変えるからです。上位レイヤーでの競争に変わるとは、自動車という製品単体 (ハードウェアだけ) の競争から、ハードとソフトの競争になり、さらには社会インフラ全体までに及びます。

自動運転車は設計思想から、大きく2つに分かれます。オートパイロット (Autopilot) と、自律運転 (Self-driving) です。

オートパイロットは、運転の主体者は人間であり、人の運転を機械がサポートするという考え方です。自律運転は、最終的には人が運転操作には関与せず、機械だけで運転ができる方式です。

 

自動車から都市デザインの競争へ

自律運転車は、人が運転せずにコンピュータだけで運転が成立します。行き着くのは、自動車における競争が単に自律運転車の開発だけではなく、都市デザインでの競争です。

グーグルの創業者の一人であるラリー・ペイジは2014年時点で、空港の仕組みに不満を抱いており、自分たちで今とは全く違う空港をデザインできないかを考えていることを示唆しています。

 

www.businessinsider.com.au

都市デザインだけではなく、都市と都市を結ぶ 「都市間デザイン」 もラリー・ペイジが実現したい未来の1つなのでしょう。

 

最後に

自動車が自動運転車に変わっていけば、単にハードウェアが変わるだけではなく、人々の移動方法に影響を受けて都市全体が変わります。社会インフラという複合システムが変わっていきます。

本書では、グーグルに対抗できる数少ない存在としてトヨタを挙げています。自動車がフックになり、社会的なイノベーションは起こるのでしょうか?

  

Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない (角川EPUB選書)