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書評: 3000人のユダヤ人に YES と言わせた技術 (マーク富岡) 。交渉の基本は相手との人間関係をいかに良くするか

3000人のユダヤ人に YES と言わせた技術 という本をご紹介します。

 

3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術

3000人のユダヤ人に YES と言わせた技術

 

 

エントリー内容です。

  • 交渉相手と良い人間関係を築けるか
  • 相手に対して気遣う心を持っているか
  • 交渉に臨むための考え方が書かれた本

 

交渉相手と良い人間関係を築けるか

本書から学べるのは、交渉において何より大切なのは、交渉の基本は相手との人間関係をいかに良くするかということです。

そのためには著者が重視するのは、交渉が終わるときに双方がいかに満足できるか、Win-Win を目指せるかです。たとえ厳しい交渉であっても相手を人として尊重し敬意を払っていれば、相手もこちらの気持ちを汲み取り最終的には Win-Win の結果につながると言います。

 

相手に対して気遣う心を持っているか

本書に書かれていて印象的だったのは、交渉とは素晴らしい人間関係をつくるための1つのプロセスである、という言葉でした。

交渉を通じて、お互いの人間性や信頼に基づく良い人間関係を築き上げるためには、交渉相手に対して気遣う心を持っていることが大切です。

著者 (マーク富岡氏) のメンターであるマイヤー氏は、次のように著者に語ります。本書からの引用です。

ミュンヘンのバーで、ジントニックを飲みながら彼は言っていた。

 「相手のためにしてあげられる最大限のことを、まずあなたのほうからすればいいんですよ、マークさん。相手にとってメリットのあることをあなたがすれば、相手から信頼を得ることができます。相手の信頼を得ることは、何より大切なことです。

信頼さえ得れば、多少交渉が紛糾しても、最後のところで必ず合意点が見つかると私は信じています」

まず自分の利益を確保することーーこれが交渉に勝つ唯一の手段だと考えていた当時の私には、衝撃的な話だった。

しかし、マイヤー氏は気持ちを先読みしたかのように私を導き、心地よいもてなしのような交渉をしてくれた。だからこそ私はたちまち彼のとりこになり、信頼を寄せたのである。

 (引用:3000人のユダヤ人に YES と言わせた技術)

 

交渉に臨むための考え方が書かれた本

この本で書かれているのは、具体的な交渉ノウハウよりも、交渉に臨むための考え方です。

著者のこれまでのビジネスでの交渉の話はいくつか具体例として紹介されてはいます。ただ、交渉状況が海外企業との新規取引を結ぶための契約の話が中心で、自分の状況では同じことは起こりにくいものが多かったです。

しかし、だからと言って、本書の内容から学びがないというわけではありません。

例えば、交渉では準備が8割、交渉の目的とゴールを常に意識すること (例: ノートに最初から書いておく) です。

他には、交渉において感情が高まってきたときの対処法も参考になりました。具体的には、感情的な意見からはいい結果が生まれないと自分に言い聞かすこと、議論で熱くなったときや険悪な雰囲気になったら短い休憩を入れる、です。

交渉についての認識を変えてくれる本です。自分の言いたいことを伝えるだけ、こちらの要望だけを実現するだけ、いかに相手に勝つかではないのです。そういう気づきを与えてくれる本です。

 

3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術

3000人のユダヤ人に YES と言わせた技術