MEDIA MAKERS - 社会が動く 「影響力」 の正体 (田端信太郎) 。メディアの変化がコンテンツを変えていく
MEDIA MAKERS - 社会が動く 「影響力」 の正体 という本をご紹介します。
MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 宣伝会議
- 作者: 田端信太郎
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: Kindle版
- 購入: 1人 クリック: 7回
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メディアに関する様々な論点が提示され、具体的な例とともにわかりやすく書かれています。
CD の普及で曲が変わった
興味深かったのは、音楽でのメディア変化についてでした。アナログ盤 (レコード) から CD への変化が、何をもたらしたかです。
そもそもメディアとは、発信者の思いが受信者に伝達する媒体・媒質です。送り手側の何かを伝えたいというコンテンツや思いがあり、それを受け手に伝達する媒体がメディアです。
アナログのレコードからCD の普及で起こったことで興味深いと思ったのは、コンテンツそのものの変化でした。具体的には、CD というメディアによって、曲の構成やタイトルが変化しました。サビ頭と呼ばれる、曲の最初にいきなりサビから入る構成です。
- CD 以前:A メロ → B メロ → サビ
- CD 普及後:サビ → A メロ → B メロ → サビ
変化の背景は、CD により、曲単位のスキップや頭出しが簡単にできるようになったことでした。サビが最初に来ないと 「この曲は何か?」 となり、サビという最も盛り上がるパートに行く前に、次の曲にスキップされてしまうからです。
結論が先と言わんばかりに、リスナーは A メロ → B メロ → サビと、気長には待ってくれなくなったのです。
曲のタイトルも、サビの歌詞の言葉をそのまま使うようになったという指摘も、興味深かったです。
手段 (メディア) の変化が、目的 (コンテンツ) をも変化させる
アナログから CD による音楽の変化を一般化すると、メディアの変化がコンテンツそのものを変えたことです。
コンテンツを受け手に届ける媒体にすぎなかったメディアは手段です。手段が変わることによって、コンテンツという目的をも変えたのです。
興味深いのは、コンテンツの作り手ではなく、受け手が主導して変わったことです。 CD というデジタルメディアが普及し、受け手であるリスナーが曲ごとに気軽にスキップや頭出で好きなように聴くようになったことがきっかけです。
ポイントは曲を提供する送り手側の意図ではなく、あくまでユーザーが主導した変化だということです。
最後に
メディアの変化によってコンテンツが変わる、底流には人々の行動の変化があることは、音楽コンテンツだけに留まりません。
手段の変化によって、本来の目的自体も変わり得るという視点を、興味深く学ぶことができた一冊です。
MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 宣伝会議
- 作者: 田端信太郎
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
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