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売上につながる 「顧客ロイヤルティ戦略」 入門 (遠藤直紀 / 武井由紀子) 。ある夫婦のすれ違いから考える 「本当の顧客視点」

売上につながる 「顧客ロイヤルティ戦略」 入門 という本に、顧客視点について考えさせられることが書かれていました。

 

売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門

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エントリー内容です。

  • 顧客から見た自分たちの姿
  • ある夫婦に見る相手の立場に立つ難しさ
  • 本当の顧客視点とは

 

顧客から見た自分たちの姿

本書に、「顧客の立場に立とうとして、顧客の姿が頭に浮かんだ人は失格」 という見出しで、顧客視点になる時の注意点が書かれています。

顧客の立場になろうとして、頭の中に浮かんだ人は誰かです。

印象的だったお客など、普段から自分がお客と呼んでいる人の顔が浮かぶのではないでしょうか。

しかし、本当の顧客視点とは、相手 (顧客) の顔を思い浮かべるのではありません。顧客から見て自分たち (企業・店や商品) がどう見えるかを想像することです。お客が認識している自分たちの姿を、顧客の目からどう見えているか思い浮かべることです。

 

ある夫婦に見る相手の立場に立つ難しさ

この本では顧客視点の説明を、日常の人間関係からもわかりやすく描いています。

夫婦の例で、夫が妻のために花を買って帰る場面です。働いている妻は、家事や子育てで家でも忙しくしています。

以下は本書からの引用です。

例えば、妻を喜ばせようと花を買って帰る男性が、「びっくりするけど少し照れながら喜ぶかな?」 と奥さんの顔を思い浮かべているのは、妻の立場に立っているとは言えない。

妻の立場に立てば、おそらくこうだろう。

仕事帰りに毎日小走りで小さな子供2人を保育園に迎えに行き、慌ててご飯の支度をして、その間にも兄弟げんかの仲裁、宅配便の受け取り、お風呂の準備、おむつ交換、風邪気味の子供の鼻水をとる…… などをしているドタバタの中、玄関が開く音がして、そこに花束を抱えて立つ夫の姿があった場合、真っ先に思うのは、「ああ、今日は早く帰ってきてくれてよかった。ご飯の準備している間、ちょっと子供見ててくれない?え、花?ああ、ありがとう。あとで飾るわ (心の声: 花を買う時間があったらもっと早く帰ってきてほしかった…… ) 」 が本音かもしれない。

 (引用:売上につながる 「顧客ロイヤルティ戦略」 入門)

 

夫が想像したのは、花をもらって驚きながらも照れて喜ぶ妻の顔でした。

しかし、顧客視点、この場合は妻の視点に立てば、夫が想像すべきは、花を買って帰った自分の姿です。顧客視点とは、単に自分 (夫) の姿を思い浮かべるだけではなく、その時の妻の状況、帰宅した夫の姿を見てどんな気持ちになるかを想像することです。

 

本当の顧客視点とは

顧客視点とは、相手の立場になり、相手の状況 (コンテキスト) を踏まえた上で、どんな見え方か、どう感じるかを想像することです。

そう考えると、「もし自分自身がお客だとしたら、(自分は) 商品やサービスをどう思うか」 というレベルでは、十分な顧客視点とは言えません。

なぜなら、立場は顧客の側に立とうとしていますが、あくまで自分の視点で見ているからです。顧客のコンテキストと気持ちになりきっていません。

重要なので繰り返すと、顧客視点は単に相手の立場になるだけではなく、お客が認識している自分たちの姿を、コンテキストと気持ちと共に想像することです。

ただし、本質的に人は他人になることはできず、自分以外の人間が何を考えて、どう感じているかを理解することはできません。

それでも、むしろだからこそ、本質的には他人にはなれないことを認める一方、顧客からの見え方・感じ方を追求することが、顧客視点には求められるのです。

 

売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門

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