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マーケティングリサーチの論理と技法 (第4版) (上田拓治) 。マーケティングリサーチャーとマーケターのスタンスの違い

マーケティングリサーチの論理と技法 (第4版) という本から、マーケティングリサーチマーケティングについてです。両者の比較から、リサーチャーはどうあるべきかを考えます。

 

マーケティングリサーチの論理と技法 第4版

マーケティングリサーチの論理と技法 (第4版)

 

 

エントリー内容です。

 

本書の概要

マーケティングリサーチの論理と技法 (第4版) という本には、マーケティングリサーチ全般についての理論と実践が詳しく書かれています。

具体的には、マーケティングとの位置づけ、リサーチの各プロセス、様々な手法、リサーチの応用事例です。

 

 「マーケティングリサーチャー」 と 「マーケター」 のスタンスの違い

書かれていたことで興味深かったのは、著者が考えるマーケティングリサーチャーとマーケターのスタンスの違いでした。

以下にご紹介します。左側がリサーチャー、右側がマーケターです。

 

リサーチャー ↔ マーケター

  • 事実を重視 ↔ アイデアを創出
  • 過去・現在を調べる ↔ 未来を展望する
  • 理性的アプローチ ↔ 情熱的アプローチ
  • 情報を報告 ↔ 情報を解釈
  • 客観的に見つめる ↔ 主観的に眺める
  • データを重視 ↔ インサイトを重視
  • 新しい事実・情報を知る喜び ↔ 事実・情報を戦略に活かす喜び

 (参考:マーケティングリサーチの論理と技法 (第4版) )

 

リサーチとマーケティングの一貫性

リサーチャーとマーケターでスタンスの違いを見て思ったのは、両者の立ち位置の違いが、マーケティングリサーチマーケティングの関係に基いていることでした。

マーケティングリサーチマーケティングの関係は、リサーチはあくまでマーケティングの問題解決のためにあるべきです。

リサーチの役割は、マーケティングが抱える問題の解決、あるいは解決のための示唆になる方向性を示すことです。リサーチが、マーケティング目的を達成するために貢献できるかです。

マーケティング目的、マーケティング問題、リサーチ目的の具体的なイメージは、例えば以下です。

  • マーケティング目的:大型リニューアルで減少傾向にある商品の売上を増加に転じたい
  • マーケティング問題:大型リニューアルの戦略や施策を決める必要情報が不足。具体的には、リニューアルで狙う新規ユーザーのニーズが不明
  • リサーチ目的:新規ユーザーを取り込むために対象者のニーズを調査し、マーケティングの意思決定に貢献する (マーケティング問題を解決する)


マーケティングマーケティングリサーチの関係で大切なのは、これら3つの一貫性です。上記3つで、下から上につながっていることが大事です。

リサーチ目的がマーケティング問題を解決するか、マーケティング問題の解決がマーケティング目的達成につながるかです。

 

マーケターの視点を持つリサーチャーに

リサーチャーとマーケターのスタンスの違いに話を戻すと、リサーチャーは調査からのデータや事実という客観性を重視します。それを受けたマーケターは、情報をどう解釈するか、インサイトは何か、どんなアイデアを生み出すか、などの未来を展望します。

自分の立場がリサーチャーの場合、リサーチャーとしての理想は、リサーチャーのスタンスをベースとしつつ、マーケティングリサーチャーであるからには、マーケターの姿勢も持っておくことです。リサーチャーの役割を全うしながら、時にはマーケターの役目も担うのです。

リサーチャーとマーケターの役割を行ったり来たりしながら、今の自分はどちらのスタンスで考えているか、どちらの視点で見ているかです。

例えば、リサーチャーが調査レポートを書く場合です。まずはリサーチャーのスタンスで、事実をベースに客観性を重視する内容で作成します。その後にファクトから、考察やインサイトマーケティングへの提言を書く段階では、マーケターのスタンスになります。

この役割を意識して使い分けることが大切です。

 

マーケティングリサーチの論理と技法 第4版

マーケティングリサーチの論理と技法 (第4版)