ユニ･チャーム SAPS 経営の原点 - 創業者高原慶一朗の経営哲学 (二神軍平)

ユニ･チャーム SAPS 経営の原点―創業者高原慶一朗の経営哲学 という本をご紹介します。

ユニ･チャーム SAPS 経営の原点 - 創業者高原慶一朗の経営哲学学

エントリー内容です。

• 本書の内容。ユニ･チャームの SAPS 経営
• 個人レベルでの応用
• 行動を基点に変えていく。正しい行動を促すためのゴール設定

本書の内容

以下は、内容紹介から引用です。

売上目標を捨て、営業日報をやめ、階層別営業会議を廃止し、行動管理とコミュニケーション、飲ミニケーションで勝負する。

不況下で高業績を続けるユニ・チャームがグローバルに推進する SAPS 経営モデルはどのように生まれたか、人間尊重・達成感重視・時間競争力を信条とする経営のしくみとその背景が初めて明らかに。 

ユニ･チャームの SAPS 経営

SAPS 経営の SAPS は、4つの頭文字からです。

• Schedule: 思考と行動の双方のスケジュールを組み立てる
• Action: 計画どおりに実行する
• Performance: 効果を測定し、反省点と改善点を抽出
• Schedule: 今週の反省を生かし、次週の計画を立てる

SAPS 経営のポイントは、目標管理ではなく ｢行動管理｣ にあります。

マネジメントをするのは、週単位の行動です。

例えば営業職では、商談の訪問先と訪問回数を管理します。成果である販売件数や販売額ではありません。上司が部下に言うのは ｢売ってこい｣ という成果を求めるのではなく、｢会ってこい｣ という行動です。成果ではなくプロセスを重視するのです。

SAPS 経営で徹底されている考え方は、仕組みに原因を求めることです。結果や成果である売上げが増えないのは、営業社員の販売力が弱いからとは考えません。営業の ｢仕組み｣ が悪いと見なします。

SAPS 経営の考え方は、個人レベルにも応用できる

SAPS 経営は、一人ひとりが自分でコントロールできる行動に焦点を当てたマネジメント手法です。

野球に例えると、バッターの打率が3割に達するかを管理するのではなく、毎日1,000回の素振りをすることを目標とします。

SAPS 経営の考え方は、個人レベルにも応用できます。例えば、何か新しいことを始める時に、成果や結果ではなく、行動自体にフォーカスしてみることです。

行動を基点に変えていく

SAPS 経営で興味深いと思ったのは、社員などの人を変える順番です。

通常は、行動を変えるにはまず意識を変える必要があると考えます。一方のユニ･チャームの SAPS 経営では、まず始めに行動を変え、行動を通して意識が変わるというアプローチです。

行動 → 意識 → 能力 → 習慣

正しい行動を促すためのゴール設定

SAPS 経営は、成果や結果ではなく行動をマネジメントします。

一方で、経営にとって問われるのは成果を出しているかです。

ここに SAPS 経営の難しさがあります。いくら行動を管理しても、行動の先の結果につながっていなければ、社員のマネジメントはできても経営がうまくいっているとは言えないからです。

ゴールや目的をどのように設定し、いかに共有するかです。

ヒントになると思ったのは、本書の最初に書かれていたことでした。引用します。

私はよく、｢穴を掘る｣ ことと ｢井戸を掘る｣ ことの違いを例にとって、こう説明します。

真夏の炎天下、地面に穴を掘るのは苦痛以外の何ものでもありません。ただ ｢穴を掘れ｣ と上司から命令されれば、それは苦役です。命じられた部下たちは、どうしたらその苦役から逃れられるかを必死で考え、穴掘りをだれかに押し付けようと画策するでしょう。

しかし、その地面の下に地下水が流れていることがわかっていて、それを汲み上げるための井戸を掘るのであれば、同じく炎天下で穴を掘る作業も、冷たくて美味しい水を飲むという希望に変わります。

｢この下に水がある、みんなで井戸を掘ろう｣ と言われれば、部下たちは少しでも速く、効率的に穴を掘って地下水脈にだとりつこうと、一致団結して知恵を出し合うでしょう。そして地下水脈にだとりついたあかつきには、大きな喜びと達成感を共有することでしょう。

目標の共有はよくいわれることですが、その目標はこのように、全員にとって希望となり誇りとなるような、意味のあるものでなければなりません。こうした目標を与えることが、組織を束ねるリーダーの役割です。

 (引用：ユニ･チャーム SAPS 経営の原点―創業者高原慶一朗の経営哲学)

ユニ･チャーム SAPS 経営の原点 - 創業者高原慶一朗の経営哲学