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人生の勝算 (前田裕二) 。スナックに学ぶ、コミュニティを活性化させる5つのポイント

人生の勝算 という本には、コミュニティが形成されるときの、5つのポイントが紹介されています。

 

人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算

 

 
今回は、酔い潰れるママがいるようなスナックに学ぶ、コミュニティを活性化させる5つのポイントをご紹介します。

エントリー内容です。

  • コミュニティが形成される5つのポイント
  • 絆がコミュニティを形成する
  • 絆をつくるのは 「体験」 と 「感情移入」 から

 

コミュニティが形成される5つのポイント

著者の前田氏は、地方出張に行くと、必ず現地のスナックに訪れるそうです。

スナックは、もともと家族の影響で身近な存在であるとともに、スナックにある永続するコミュニティの本質に気づかされるとのことです。

スナックを訪れる度に、「全てのファンビジネスの根幹はスナックなのではないか」 と思わされるような学びがあると言います。

スナックに見られる、コミュニティが形成される5つのポイントは、次のように本書に書かれています。引用します。

コミュニティが形成される上で、5つのエッセンスがあります。これらはすべて、スナックコミュニティという現象から抽象化できるものです。

最初の二つは ① 余白の存在、② 常連客の存在です。コミュニティを作る上では 「余白」 が重要になります。そして、スナックにおいては、ママ自体が、確かな余白として設計されています。

ママは若くてきれいな女性である必要はなく、例えば一緒にお酒を飲んだお客より先に潰れても良いし、どこか頼りなくても良い。プロフェッショナルとしては、粗だらけです。

でも、その未完成な感じが、逆に共感を誘い、仲間を作ります。みんなでこのママを支えようという結束力が生まれ、コミュニティが強くなります。

 (引用:人生の勝算)

 

5つのうち、1つめは 「余白があること」 、2つめは 「常連客の存在」 です。

引用を続けます。

コミュニティが深まる要素として、前述の ① 余白があること、② クローズドの空間で常連客ができること、以外に、③ 仮想敵を作ること、④ 秘密やコンテクスト、共通言語を共有すること、⑤ 共通目的やベクトルを持つこと、の三つがあります。

トラブルが起きた朝方のスナックでは、まさにこの三つが同時に成立しています。

③ 「仮想敵」 の観点では、ママを責める常連客は、まず皆の敵になり、ママを皆で守ることで結束が強まります。④ 「秘密共有」 の観点では、このトラブルのことは、他のお客には言わないで、我々だけの胸にしまっておこう、という共通認識やコンテクストが出来上がります。

⑤ は、これは ③ と似ていますが、このお店のトラブルを解決する、という一つの目的にそれぞれが向かっていくことで、絆が生まれます。

 (引用:人生の勝算)

 

絆がコミュニティを形成する

ここからは思ったことです。

あらためてコミュニティを活性化させる5つは、以下です。

  • 余白があること (完璧ではない)
  • クローズドの空間で常連客ができる
  • 仮想敵をつくる
  • 秘密やコンテキストが共有され、共通言語がある
  • 共通する目的やベクトルを持つ


5つ全体を通して思う本質は、お互いに絆をいかにつくれるか、絆をどれだけ強固にできるかです。

人が集まりコミュニティができ、人同士の絆がコミュニティを活性化させ、強くします。コミュニティは絆の集合体です。

 

絆をつくるのは 「体験」 と 「感情移入」 から

では、どうすればコミュニティ内で絆がつくることができるのでしょうか?

思ったのは、体験による感情移入によって絆ができることです。

5つのエッセンスの中で興味深かったのは、「常連客を "中の人" にできると、コミュニティは一気に強固になる」 と書かれていたことでした。これは5つのうち1つめの 「余白があること」 にもつながります。

例えば、スナックのママがお客と一緒にお酒を飲み、お客より先に酔いつぶれるような状況です。常連客は頼まれもしないのに、自分たちで他の客の接客をしたり、グラスや食器を洗ったりします。

余白のあるママを見て、自分がやらなければという当事者意識が芽生えます。常連客が 「中の人」 になり、お店側の体験をすることによって、スナックというコミュニティへの帰属意識が高まります。この過程を通して、絆は強くなります。

これが、体験から感情移入が起こり、絆ができるということです。自分ごと化した体験、自分が当事者 (中の人) になった状況を体験できるかです。こうした積み重ねがコミュニティを活性化させます。

コミュニティやそこでの絆は、コミュニティそのものの中にあるのではないということです。コミュニティ利用者の頭の中にあるのです。

 

人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算