ツカむ!話術 (パトリック・ハーラン) 。信頼・共感・論理の3つが入ると説得力が高まる
今回は、ツカむ!話術 という本です。
お笑いコンビのパックンマックンのパックンによる、コミュニケーション術について書かれた本です。
読む前は、お笑いタレントの書いた本なので、内容の浅い本かと思っていました。しかし内容は深く、わかりやすく書かれている本でした。
エントリー内容です。
- 本書のテーマ
- 説得力を高める3つの要素
- どうやって説得力を高めるか
本書のテーマ
この本にかかれていることは、コミュニケーションや人と話す時に説得力のある伝え方をするにはどうすればいいかです。
普段の会話、会議、プレゼン、スピーチなど、様々なコミュニケーションについて書かれています。
日常で色々な場面で話をしたり、聞いたりします。そのほとんどは、書かれているような話術を意識しなくても、コミュニケーションは成立します。日常のちょっとしたコミュニケーションでも、奥には理論があることが本書を読むとわかります。
本書を読んでいくと、わかりやすい話とそうではないもの、伝わる・伝わらないの違いは何が要因だったのかがわかります。
説得力を高める3つの要素
興味深かったのは、コミュニケーションにおける説得の要素が3つあることでした。エトス、パトス、ロゴスです。それぞれ、信頼、共感、論理です。
エトス (信頼)
- 人格による説得要素。信頼のできる人物が話しているか
- 話している人を信用しようという気にさせるような表現を指す
- 人格が優れている、品格がある、人柄がよい、センスが良い、面白そう、価値観が自分と一緒などの、その人自身の信頼性
パトス (共感)
- 感情に働きかける説得要素。話の内容に共感できたり感情移入できるか
- 共感、怒り、喜び、所属愛・愛国心など、聞いている人に特定の感情を抱かせるような表現
ロゴス (論理)
- 知性に働きかける説得要素。話の論理や言葉がわかりやすいか
- その人の言うことが頭で考えて理解し、納得できること
- 話に論理性がある、理論的である表現
3つのうち最も重要なのはエトス (人としての信頼)
以上の3つは、同等の力を持っているわけではありません。順番は以下です。
エトス > パトス > ロゴス
(信頼 > 共感 > 論理/言葉)
いくら言葉巧みに話されても、話に共感できなかったり、その人自体が信用できない人であれば、人は動かないということです。ロゴス (論理) だけあっても、パトス (共感) 、エトス (信頼) がなければいけません。逆に言うと、信頼している人の話は、多少の論理性がなくても、信用してしまいがちということです。
エトス・パトス・ロゴス度を高めるコミュニケーション例
話す人や話し方によって、相手が動くかや説得されるかどうかが変わります。
例えば、クライアントを説得するために、ここぞという時は自分の上司である部長に同行してもらうことが当てはまります。
エトス (信頼)
話す内容自体は部長も自分も変わらなくても、説得力があるのは部長です。部長と自分の社会的地位の差から生まれ、相手が社会的な信頼度を重視する人であれば、部長のほうがエトス度 (信頼度) が高いからです。
パトス (共感)
エトス度の高い部長が、さらに、クライアントが抱える課題や悩みに寄り添うような、相手の感情も汲み取った話し方をすればさらに効果があるでしょう。パトス度の高いコミュニケーションです。
ロゴス (論理)
エトスとパトスを部長に任せ、部下である自分は部長よりも現場や技術に詳しければ、自分はロゴスで役割を果たします。
3つの要素を意識したコミュニケーションを
コミュニケーションをして相手を動かすために、自分は今、エトス (信頼) 、パトス (共感) 、ロゴス (論理) のうち、何を使っているのかです。意識するのと漠然とコミュニケーションをするのでは、相手への伝わり方は違います。
ちなみにこの本の帯には、「東京工業大学で大人気の白熱講義、ついに書籍化!」 「名門大卒芸人パックンが教えるハーバード流トーク術!!」 とあります。ここでもうまくエトスが使われています。