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採用基準 (伊賀泰代) 。マッキンゼーの採用基準から考えるリーダーシップの身に付け方

採用基準 という本をご紹介します。
 

採用基準

採用基準

 

 

エントリー内容です。

  • 本書の内容
  • リーダシップの重要性と身に付け方
  • リーダーシップで変わること

  

本書の内容

著者は伊賀康代氏です。マッキンゼーの採用マネージャーを12年間務めた方です。

採用基準というタイトルは、マッキンゼーが何を基準に採用しているのか、どういう人材を求めているかです。

マッキンゼーの採用基準は3つです。

  • リーダーシップがあること
  • 地頭がいいこと
  • 英語ができること

 

特に重視しているのはリーダーシップです。リーダーシップポテンシャルをもっていて、将来、グローバルリーダーとして活躍できる人です。

私が読んで意外に思ったのは、地頭の良さや高い論理的思考力よりも、リーダーシップを重視していることでした。


リーダーシップを重視する理由

なぜマッキンゼーの採用基準では、リーダーシップを重視するのでしょうか?

コンサルタントは、問題解決を高いレベルでクライアントから求めらます。クライアントが自分たちで解決できないような 「答えのない」 ものです。

現実に解決していくためには、いかに他者を巻き込んでいくかが肝です。そのために問われるのは、リーダーシップです。

単に頭がよく、論理的思考ができるだけでは、他者やまわりを巻き込むことはできません。リーダーシップは、クライアントの組織や仕組みをドラスティックに変え、提案だけではなく実行するために求められるのです。


リーダーの役割

リーダーがやるべき役割は、以下の4つが書かれています。

  • 目標を掲げる
  • 先頭を走る
  • 決める
  • 伝える (コミュニケーション)

 

リーダーの役割を理解しておくことは、リーダーシップを発揮するために役に立ちます。

リーダーは、ビジョンや未来のあるべき姿を描く人です。そして、理想を実現するために目標に落とし込み、ゴールに向かって先頭に立つ人です。

ゴールに向かって何の障害もないケースは稀です。問題を解決するために、意思決定が必要になります。その時にリーダーがいかに決断するか、そして決めたことをどう伝えるか、まわりを説得し共感を得て導いていけるかです。


リーダーシップの身につけ方

リーダーシップを身につけるためにはどうすればよいのでしょうか?

マッキンゼー流のリーダーシップの学び方は、以下の4つが紹介されています。

 

1. バリューを出す

バリューを出すとは、成果や結果を出すことです。リーダーとは非情なポジションです。

リーダーシップを身につけるためにも、常日頃から自分がやったことに対して 「成果は何か」 「付加価値は何か」 を意識するとよいです。これをやったと言える成果を出すことを心がける。

 

2. ポジションをとる

ポジションとは、自分ならこう考える、意見が言えることです。イシューに対する自分の立ち位置です。

自分が最終的な意思決定者でなくても、自分がその立場だったらと想定し、どう決断するかを考えるとよいです。自分の意見を常に持っておきます。

 

3. 「自分の仕事のリーダーは自分」 という意識

リーダーシップを発揮することとは、上司やクライアントも含めた関係者をどう巻き込んで進めるかです。

そのために重要なのは、自分の仕事は自分自身がリーダーという意識です。指示されたことや言われたことを受け身でやるのではなく、主体的に進めることです。当事者意識や自分ごと化によって、リーダーシップが養われます。

 

4. ホワイトボードの前に立つ

4つのうち、具体的な方法で興味深かったのが、ホワイトボードの前に立つことです。

会議で積極的にホワイトボードを使い、その場の議論を整理したり、まとめることです。ホワイトボードに書き、それをもとに会議を進め、メンバーをリードしていくことによって、リーダーシップが鍛えられます。


リーダーシップがあると何が変わるか

本書で良かったのは、単にリーダーシップが重要である、リーダーシップの鍛え方はこうであるという内容で終わらないことです。リーダーシップを身につけると、あなたはどう変わるかまで書かれていることでした。

2つあります。

  • リーダーシップを身につけられれば世の中はどう変わるかの社会的側面
  • 個々人の働き方やどういう人生を歩めるのかの個人的側面

 

社会全体と、個人のキャリア形成の両方を書いているのを興味深く読みました。

 

1. リーダーシップで社会が変わるもの

一言で言えば、誰かが決めてくれることに従うという受動的な姿勢ではなく、自分たちで解決しよう、変えていこう、という主体性のある社会になります。

個人的な自分の身の回りのレベルから、社会問題の大きなものまでです。政治家が悪い、景気が悪い、○○ が悪い、ではなく、自分たちでどう解決しようかという姿勢です。

 

2. 個人のレベルで変わるもの

リーダーシップがあれば自分の人生をコントロールできます。

重要なのは、受け身ではなく主体的なスタンスです。リーダーシップを持てば、自分で人生のコントロールをすることができます。ひいては自分の世界観が実現でき、世界が広がっていくのです。


1人1人がリーダーシップを持つ重要性

著者の主張で共感できるのが、1人1人にリーダーシップを持つことの重要性でした。

チームや組織で 「リーダー」 と呼ばれる人は1人かもしれません。1人のリーダーがいて、残りのメンバーがリーダーに従うという中央集権型です。これは日本の政治が現在も中央集権の構図であり、企業でも多い形態です。

中央集権型の組織やチームは、1人のリーダーの力量が、そのままチームの力量になってしまいます。良くも悪くもリーダーに依存する組織です。

一方で、分散型の組織では、リーダーはいますが、各メンバーが自主的に主体的に動き自分の役割にリーダーシップを持っています。

全体統括は上司などのリーダーが見ますが、個別の役割やタスクにおいては各自がリーダーです。時には上司も使い、まわりに対してリーダーシップを取ります。そのタスクを一番わかっているのは上司ではなくそのメンバーなので、リーダーシップを持って巻き込んでいくことができているチームです。


最後に

今回のエントリーのテーマは、リーダーシップについてでした。

リーダーシップについては、note にまとめています。よろしければ、ぜひご覧ください。

note.mu

 

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