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凡人を達人に変える77の心得 (野村克也) 。その分野の本質を知らない人間は大成できない

凡人を達人に変える77の心得 という本をご紹介します。著者は野球の野村克也氏です。

 

凡人を達人に変える77の心得

凡人を達人に変える77の心得

 

 

エントリー内容です。

  • 本書の概要
  • 心得を1つご紹介 (野球のピッチャーの例)
  • 仕事に当てはめると 「期待値コントロール

 

本書の概要

この本には、野村氏がプロ野球の監督をつとめていた時に、ミーティングで選手に話していたことがまとめられています。

書かれていることは野球のことが中心です。ただし、野球の話で終わらずに、ビジネスの場合にはこう当てはまるといった 「応用」 が書かれています。全体の文章量は決して多くありませんが、一つ一つの心得が考えさせられる内容です。野村氏の哲学や生き方にふれることができ、読み応えがある本です。

 

その分野の本質を知らない人間は大成できない

77の心得から1つ、ご紹介します。「本質を知れば、”自分を正しい方向へ” 導ける」 です。

以下は、本書からの引用です。本質を知ることの重要性を説いています。

 「プロの世界で成功する人間と、そうでない人間の差は何か?」

このような質問をインタビューで時々受けるが、答えは一つではない。努力の差もあるし、いい環境や運もあるだろう。人に恵まれるというのも大事な要素だ。

しかし、経験則から、絶対的に言えることもある。それは、「その分野の本質を知らない人間は大成できない」 ということである。

 (中略)

本質がわかっていない人間は、間違った方向に努力をし続けてしまう。本質がわかっている人間は、自分を正しい方向に導くことができる。

この 「本質をわかっている」 というたった一点が、プロの世界で成功する人間と、そうでない人間を生む決定的な差になるのだ。

 (引用:凡人を達人に変える77の心得)

 

心得を野球のピッチャーに当てはめると

野球のピッチャーを例に解説します。

野村氏はこれまで、甲子園でスターだったピッチャーがプロ野球選手になり伸び悩むケースを多く見たと言います。その原因はピッチャーの本質を見誤っていることにあるとのことです。

彼らは自身のことを 「本格派のピッチャー」 と認識していました。しかし、甲子園では本格派と言われたストレート (速球) は、プロの世界でも武器になるとは限りません。

プロで武器になるのは、コントロールであると野村氏は断言します。コントロールさえよければ、必ずしも 150km/h の速球は必要ありません。つまり、ピッチングの本質はコントロールなのです。コントロールという本質を理解しているかどうかが、ピッチャーとして成功の分かれ目です。

先ほどの引用には、「本質がわかっていない人間は間違った方向に努力をし続けてしまう。本質がわかっている人間は自分を正しい方向に導くことができる」 とあります。ピッチャーに当てはめると、ストレートの速度を早くする努力の方向性よりも、どれだけコントロールを磨けるかが正しい方向です。

 

仕事に当てはめると 「期待値コントロール

ピッチャーの本質がコントロールであることを、ビジネスパーソンに当てはめてみます。

仕事に言い換えると、「仕事はスピードよりも、狙った期待値に落とし込めるようにせよ」 となります。

期待値コントロールという言葉があります。自分が提供する仕事の成果物の受け手が、10の期待値を持っているとすれば、12の価値を提供するように、相手の期待を少し上回るコントロールを意図的にできるかです。10に対して期待を下回ってもいけないだけではなく、高すぎる成果物に時間をかけすぎてもいけません。

成果物は3つのトレードオフです。3つとは、品質、かけたコスト、かかった時間です。いくら早く仕上げても間違いが多いクオリティでは、プロとは言えません。相手の期待値を上回る品質を、最適なコストと時間で主体的にコントロールできるかがプロの仕事です。

 

最後に

今回は、書籍 凡人を達人に変える77の心得 から 「本質を知り、本質に沿った努力の大切さ」 をピックアップしました。そして、自分の仕事に当てはめました。

冒頭でもご紹介したように、この本のおもしろさは単に野球だけの話にとどまらないことです。読みながら心得を1つ1つ、ビジネスにどう当てはまるか、自分には何を意味するかを考えながら読むと、気づきが得られます。

 

凡人を達人に変える77の心得

凡人を達人に変える77の心得