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日本人には教えなかった外国人トップの 「すごい仕事術」 (フランソワ・デュポワ) 。キャリアの本来の意味は 「人生そのもの」

 日本人には教えなかった外国人トップの 「すごい仕事術」 という本をご紹介します。

 

日本人には教えなかった外国人トップの「すごい仕事術」 (講談社BIZ)

日本人には教えなかった外国人トップの 「すごい仕事術」

 

 

エントリー内容です。

  • 本書の内容。キャリアの本来の意味は 「人生そのもの」
  • 点と点がつながる
  • 自分のキャリアをどうつくるか

 

本書の内容

著者であるフランソワ・デュポワ氏の問題意識は 「キャリア」 そのものへの日本人の考え方です。本の冒頭に、次のように書かれています。

多くの日本の若者たちが、とにかく 「目の前のこと」 しか考えていない。しかも、日本特有の “固定観念” に強く縛りつけられている ーー そんな印象を受けました。

学校をどうするか。どんな仕事に就くか。今の仕事をどうするか。次の転職先をどうするか……。「目の前に課題がある。それに対して、社会としてこうしたほうがいい」 という “セオリーのようなもの” が厳然として存在している。

ところがそこに、個人の人生としての 「長期的視点」 がまったくと言っていいほど欠けているのです。これでは、学生も、社会人の、頭を悩ませるのは当然です。自分自身で納得して人生を歩んでいないのですから。

そして、学生がなぜ 「外国人」 の僕に相談をしてきたのか、想像がつきました。日本には、「キャリア」 本来の意味に根差した 「キャリアデザイン」 の考え方がなかったからです。キャリアと言えば、日本では学歴や仕事上の経歴だけを指します。

しかし、人生は仕事だけで成立しているわけではありません。キャリアを考えるというのは、「人生そのもの」 について考えることなのです。仕事を考えるにしても、人生をどうするかという観点からブレイク・ダウンしていかなければならないのに、日本のキャリアデザインは、そうではなかった。

 (引用:日本人には教えなかった外国人トップの 「すごい仕事術」 )

 
本書は、デュポワ氏が外国人トップとして日本の企業を率いる社長それぞれに行なった、1対1のインタビューを基にした対談形式で書かれています。

インタビューは、カルロス・ゴーン氏 (日産 CEO) 、リシャール・コラス氏 (シャネル社長) 、マリア・メルセデス・M・コラーレス氏 (スターバックス・コーヒージャパン代表取締役 CEO) など5人が対象でした (肩書はインタビュー当時のものです) 。

 

キャリアの本来の意味は 「人生そのもの」

デュポワ氏は、5人へのインタビューは共通して、キャリアについての定義を聞くところから始まります。上記の引用でもあったように、日本ではキャリアという言葉は仕事上のものという意味に限定されている、狭い捉え方をしているという問題意識からです。

デュポワ氏は、キャリアの語源までさかのぼってインタビュー相手に問いかけます。キャリアという言葉の語源は、ラテン語のカラリア (cararia) であり、「道」 という意味を持っています。

インタビューでキャリアの本来の意味を問われ、5人に共通していたのは、キャリアとは仕事や学歴だけを指すのではなく、人生そのもの・人生をつくるもの、という捉え方です。

 

点と点がつながる

他に5人に共通していたのは、今の状況や自分のキャリアを振り返ったときに、子どもの頃や若い時に将来を思い描いた想像と全く違っていることです。

さらに5人に共通しているのは、もともとのキャリアイメージ、自分の人生をどう生きるかという 「道」 が、はじめのキャリアプランと異なることをネガティブに捉えるのではなく、受け入れ、ポジティブに見ていることです。

あの時の経験が、その後の別のことに役になった。あの時があるからこそ、今の自分がある。このようなエピソードが、5人それぞれから出てきます。異なる経験という点と点がつながり、振り返ってみると自分のキャリアができているのです。

 

自分のキャリアをどうつくるか

本書を読んで考えさせられたことは、どのように自分のキャリアをつくっていくかでした。

今後の自分のキャリアを思い描き、プランを立てたとしても、必ずしもその通りの道にはならないでしょう。だからと言って、何の指針やコンパスも無しに歩んでいくことが、いいキャリアづくりとは思えません。

自分のキャリアをつくるために参考になる考え方は、以下の3つでした。

  • オープンマインドであれ
  • チャレンジすること
  • 失敗をキャリアにどう活かすか


以下、それぞれについてご説明します。

 

1. オープンマインドであれ

興味深かったのは、オープンマインドです。誰に対しても、何に対しても、好奇心を伴ってオープンでいるという姿勢です。

カルロス・ゴーン氏は本書のインタビューで次のように話しています。

クリアな未来の視野なんて、実は持つ必要はないと私は思っています。人生というのは自分が想像している以上のチャンスを与えてくれるものです。もっと恵まれた場所を、もっと充実した機会を、そういうものを得るチャンスを与えてくれる。

そこで必要になるのは自分自身をオープンマインドでいることです。その時々の周辺状況にしっかりと目を配り、決して思い込みをすることなく、オープンな姿勢でチャンスを持つ姿勢を持てるかどうか。そしてチャンスが来た時には、それを思い切ってつかむ行動力を持てるかどうか。

むしろ、あまりにもクリアに道を思い描き、それに執着し過ぎてしまうと逆効果になりかねない。環境の変化に対応できず、チャンスを得る機会お見逃してしまいかねないからです。

 (引用:日本人には教えなかった外国人トップの 「すごい仕事術」 )

 

2. チャレンジすること

どのようにキャリアをつくっていくかで思った2つ目は、挑戦すること・リスクを取ることの大切さです。

失敗をしないということは、安全な道を進んでいるだけとも言えます。チャレンジをし、自分の能力以上を求められる環境だからこそ、自分は鍛えられます。

5人へのインタビューを通して、挑戦することの重要性をあらためて考えさせられました。

 

3. 失敗をキャリアにどう活かすか

3つ目は、失敗を受け入れること、失敗から何を学ぶかです。チャレンジすることとも関連します。

挑戦する・リスクを取るということは、果敢にチャレンジするので失敗をする可能性も付きものです。だからこそ、失敗をした後に、自分の失敗を受け入れられるか、失敗に対してオープンマインドになれるかです。

自分の失敗を正面から見据え、謙虚に受け入れる、その後に失敗から学べるかです。短期的には失敗はマイナスに思えますが、失敗からの教訓や学びを次に活かすことができれば、長い目で見れば人生、つまり自分のキャリアにはプラスにできるのです。

 

日本人には教えなかった外国人トップの「すごい仕事術」 (講談社BIZ)

日本人には教えなかった外国人トップの 「すごい仕事術」